エンドレス・作法。

NHK教育で新しく始まった「からだであそぼ」に、大輔がはまっている。
中でもケイン・コスギが、淡々とした語りで解説が流れる中、子供と一緒に、美しい所作をしてみせる「今日の作法」が特にお気に入り。奇声をあげつつ、画面を食い入るように見ている。同じくNHK教育「日本語であそぼ」の狂言シリーズも大好きなところから察するに、どうも大輔、「和」の雰囲気に惹かれる性分であるらしい。渋い1歳9ヶ月もいたものである。
そのうち、同じように自分もやりたくなったらしく、見よう見真似で立ったり、座ったり、お辞儀をしたりし始めた。
とはいえ正しい所作で、美しく立ち居振舞いをするには、1歳9ヶ月の大輔は、少々経験不足。有体に言えば所詮無理。もっとも一人前の大人でも、近頃は正しく美しい立ち居振舞いの出来る人は少ないから、出来なくてむしろ当然と母は思うのだが、そこは祖父譲りの負けず嫌い。ちゃんと出来ない自分がくやしくて仕方が無いらしい。
昨日、夕飯の仕度をしていると、TVを置いてある和室から大輔がしきりに呼ぶので、何事かと行ってみると、画面を指差し一言「あ。」
見ればちょうど「今日の作法・美しく座る」が始まるところだった。どうやら彼、どうしても上手く出来ないので母に代わりをさせるつもりらしい。
しょうがないなぁ、一回だけよと言いつつ、画面通り座って見せると何やら不満げな顔で「ぃあう。(違う)」
「何、どこが違うの。間違ってないでしょ。」
「ぃあう。ぃあう。あー!」
「もう、お母さん忙しいの。今度ね。」
「あぎゃー!!!」
仕方が無いので録画中のビデオを止め(この時間帯の教育番組は大抵録画している)、「今日の作法」まで巻き戻して再生し、じっくり見直してからやり直し。我ながらいい感じだと思いつつ息子を見ると
「ぃあう!」
「・・・・・。」
嫁して8年、嫁姑のいざこざはあっても、まさか行儀作法で息子にダメ出しされる羽目になるとは、夢にも思わなかった。立ったり座ったり、巻き戻しては再生し、また巻き戻しては再生する。凝り性だというのはわかっていたけど、ここまで頑固にダメ出しされると、さすがにうんざり。何がどう違うのか、せめて言葉で説明してくれないか、息子よ。
母さん、何だか膝と腰が痛いです。
「ぃあうのぉおおお!!」
やれやれ。