大輔と23日とクリスマス。

どういうわけか大輔は人がたくさんいる屋内が嫌いだ。


子供が好きそうな乗り物がたくさん置いてあるゲームセンターも嫌いだし、水族館や図書館もダメ。本屋も苦手だし、子供心だけでなく大人心もそそりそうなgoogle:さぬき子供の国の科学館(面白そうなアトラクションがいっぱいある)では、もう帰るを連発して大号泣された。多分泣くだろうなと思いつつ、一縷の望みを託して行ったアンパンマンショーは、会場の10m手前で大泣き。スーパーやデパートの食品売り場は、後でおいしいものをもらえるからか、とりあえず我慢してくれるが、衣料品や化粧品売り場に行こうとすると、体を張って阻止する。(この辺の気持ちはわからないでもない。)


そういうわけだから、来年入園予定の幼稚園から、クリスマス会のお誘いが来た時、たぶん、無理だろうなと思った私。いくら子供は風の子とはいえ、小雪のちらつく今頃の季節、ガーデンパーティなんてありえないから、クリスマス会の会場は園内(当たり前)。幼稚園だから、子供が好きそうな可愛い飾り付けがいろんなと所にしてあって、雰囲気は悪くないのだが、秋のバザーに行った時、入り口付近で手作りのアクセサリーを売っていた年長さんの、気合の入りまくった呼び込みにびびり、脱兎の如く逃げ出した大輔を追いかけ、園内を走り回る羽目になったのだ。ほんの2,3ヶ月前のことだし、大輔のことだから、しっかり覚えているに違いない。


とはいえ、来年は幼稚園に入るんだし、少しでも園の雰囲気に慣らしておいた方が大輔の為だと思い直し、とりあえず、聞くだけ聞いてみることにした。


「大ちゃん、大ちゃんに幼稚園からお手紙来てたよ。」
「お手紙なんて書いてあるの?」
「クリスマス会を23日にやるから、来てくださいって。」
「クリスマス会?」
「みんなでお歌を歌ったり、ゲームしたりして遊ぶの。」
「行かない。」
「大きなクリスマスツリー飾ってあるよ。いろんなおもちゃも置いてあって。」
「行きたくない。」
「サンタさんも来るんだって。大きいお兄ちゃんやお姉ちゃんも来て、遊んでくれるらしいよ。」
「嫌だ。」
「プレゼントもらえるみたいだねぇ。お菓子ももらえるかな。」
「行く。」
「行くの?」
「行く。ママ、お出かけズボンとジャケット出して。」
「いや、だから今日じゃなくて23日。まだ先の話だよ。」
「今日何日?」
「今日は13日。クリスマス会があるのは23日。23日が来たら、行こうね。」
「23日来たらクリスマス会。」
「そう、23日が来たらね。」
「もう23日来た?」
「まだだよ。」
「23日来た?」
「まだって。」
「じゃあ、23日迎えに行こう。ママ、お出かけズボンとジャケット出して!!」
日本語がわかるようになったとはいえ、一つの単語にいろんな意味があって「くる」といっても23日がサンタの格好して「ホー!ホー!ホー!」とか言いながらうちにやってくるわけでは無いことまでは理解できていない大輔、その後、寝るまで23日を迎えに行くと言い張って母を心底困らせましたとさ。ああ、やれやれ。