だからあれほど言ったのに。

診立て通り発熱の原因は突発性発疹だったらしく、元旦に発疹が出て、大輔全快。パワーも全開。両親ぐったり。
子供はエネルギーの塊だというけれど、正直な話、超小型の原子力発電機でも仕込んであるんじゃないかというくらいタフ。とにかく元気。朝5時に起床して、10時に1時間半程仮眠を取るまで、走るわ、飛ぶわ、転がるわ。本当に、一瞬も止まっていないのだから、恐れ入る。
その大輔が、珍しく静かに座っているなと思ったら、一体どこで見つけたのか、父秘蔵のエッチいグラビア雑誌を、それはそれは楽しげに、びりびりびりびり破いていた。しかも母譲りの根気と、父譲りの完璧主義で、一度破いたものを、更に細かく破り直し、もはや修復不可能、むしろ原型を留めないレベルに至るまで破壊の手を止めない。一応途中で止めさせようとしてはみたのだが、そこは亡き祖父譲りの気の強さ、怒りの鉄拳と、威嚇の咆哮で即座に応戦。もはや誰にも止められない。
最近の大輔は侮れないから、大事なものはちゃんと片付けておくようにと、口を酸っぱくして注意したにもかかわらず、生返事ばかりで聞く耳持たなかった夫のいわば身から出た錆とはいえ、妻が里帰りをしている間の楽しみに、大枚はたいて買った秘蔵本が、一度も日の目を見ることなく、あっという間にただの肌色の紙切れに変わるのを、呆然と見つめる夫の後姿に、思わず同情する私だった。
ドンマイ、夫。禍福はあざなえる縄の如し。これからはちゃんと片付けようね、大事なものは。
「あぎゃー!!(大満足)」