行く年来る年。

大輔が熱を出した。
昼間はとにかく元気だし、食欲も旺盛で、いつも通り一人前ぺろりと平らげた後、足りないからそれをよこせと、手付かずの母の御飯を狙って騒いでいるし、ウンチもそれはそれは素晴らしいものが、毎日きちんと出ているので、大したことはないと思うのだが、心配であることに変わりはない。
咳も鼻水もなく、高い熱(大輔にしては)が出るだけなので、突発性発疹ではないかと思う。受診した小児科でも同じことを言われたので、ほぼ間違い無い。だとすると、最初に熱を出したのが29日だから、少なくとも年内は熱が続くということか。
突発性発疹:39度以上の高い熱が3,4日続けて出て下がり、その後発疹が体中に出る病気。赤ちゃんは大抵かかる)
晦日と元旦は近所に住む義母を招いて年越し、2日は母の里で行われる一族集会(戦前から続く正月の恒例行事。母の兄弟はもちろん伯父伯母従姉すべて参加し、全員が家族を連れて本家に集る大集会。今年は大人40人、子供10人、乳児一人、胎児一人参加予定。)3、4日は実家でお正月、というのが恒例だったのだが、今年は大事をとってすべてキャンセルすることにした。
体調そのものは悪くないし、診立て通り突発性発疹なら、元旦には発疹が出て全快するだろうけれども、お調子者の大輔のこと、人が大勢集る場所に連れていけば、持ち芸全て披露してハッスルするのは目に見えているし、それが元で熱がぶりかえさないとも限らない。そうでなくてもお客が多くて大変な本家の伯母に、余計な気遣いをさせるのも申し訳無い。
考えてみれば、結婚して7年。家族水入らずでのんびり過ごしたことは無かったような気がする。もちろん、義母も実家の両親も家族には違いないし、本家の伯母も伯父も、そしてクローンのように顔のそっくりな伯父達、姉弟同様に育った従姉弟達、みんな大好きだし、一緒にいれば楽しいけれど、たまには夫と、大輔と3人で、静かに過ごしながら、1年を振り返ってみるのも悪くない。大輔にも食べられるよう、今年はがんばって手作りした、おせち料理の仕上げをしながら、そう考える私だった。


「あぎゃー!あぎゃ!あぎゃー!!」
「大輔、大輔!フリチンで走るな!!!オムツはまだ替え終ってないの!!!ママ!ママ!ちょっと捕まえて!!」
「大輔!待ちなさい、大輔!!フリチンで机に上っちゃ駄目!!おせちが、おせちが、大輔!!」
「あぎゃー!!」


・・・・・どうか良いお年を。