イマジン。

洗濯物を干していると、どこからかこんな声が聞こえてきた。
「おっぱいが来た!!」
「おっぱいは怖いぞ!」
「おっぱいは飛ぶぞ!飛んでくるぞ!」
「おっぱいだ!逃げろ!!!」
声の主は4歳くらいの男の子。友達とごっこ遊びの最中なのはわかったが、どういう設定の遊びなんだ、少年よ。っていうか、「空飛ぶおっぱい」て。
あまりにシュールで、あまりに強烈なそのフレーズに、インスピレーションを得たのだろうか、その夜、私は夢を見た。
雲一つ無い空を、巨大なおっぱいが編隊を組んで飛んでいく。丸いおっぱい。円錐形のおっぱい。釣り鐘型の、お椀型の、ありとあらゆる形のおっぱいが、それぞれ対になり、南に向って飛んでいく。空一面に広がる何百何千というおっぱいの群れを、呆然と見上げながら私は思った。そうか、もう、おっぱいが南へ渡る時期なんだなと。
越冬の為、「空飛ぶおっぱい」は南へ渡る。しかも群れで。
翌朝、あまりといえばあまりな夢に、思わず頭を抱えたのは、いうまでもない。