彼らの好きな白い色。

鳥は白い色を好む。
糞をつけられるのは大抵白い生地のものだし、糞を落とされるのも白い車が圧倒的に多い。単純に白という色に惹かれるのか、目立つから落とすのか、いずれにせよ、彼らなりの理由があるのは間違い無い。
さて、大輔を連れて買い物に行った帰り、海沿いの道を走っていると突然、フロントガラスが真っ白になった。陸橋の上の、長い長い信号待ちの列の中でのことだ。あんまり見事に真っ白になったので、一瞬、ペイント爆弾でもぶつけられたかと思ったが、そうではなく、陸橋の上にたむろしていたカモメの糞が落ちたのだった。大量に。
カモメは小さい鳥ではないが、1羽の糞でフロントガラスが真っ白になるほど大きい鳥でもない。2羽や3羽や4羽や5羽、ひょっとしたら陸橋の上にいた十数羽全部の集中放火を浴びた可能性がある。
ところで私は長い長い車の列の中にいた。正確には私の車が長い長い列の中に居た。後続車はどうかわからないが、少なくとも私の前には7台の車が止まっていた。そのうちの3台が白い車。同じミニバンタイプが一台、セダンタイプが2台。白い色を好む鳥の習性が糞の雨を降らしたというのなら、4台の白い車の中から、あえて私のダイハツ・ミラを選んだ理由は何なのか。
帰宅後、茜色の空の下、いっそすがすがしいほど糞まみれになった愛車を洗いながら、あのカモメ達に小1時間ほど問い詰めたい衝動を必死に抑える私だった。ガッデム。