「ばばっと着る。」か。「ばばぁが着る。」か。

今年の暮れは、本当に暖かい。まるで10月中旬並の暖かさだ。
おかげで厚手の靴下にも、80デニールのタイツにも、八分袖のババシャツ、ウール混裏起毛素材キルティング仕立ての十分丈スパッツ、赤い絣の半纏にもお世話にならずに済んでいたのだが、昨日日本上空に流れこんだ強い寒気のせいで、一気に例年通りの気温まで低下。水から上がったばかりの犬のように、激しく全身を震わせながら、朝、ベットから出るなり物凄い早さで上記の全アイテムを装着する母を見ていた大輔。何を思ったか、側にあったお気に入りの黄色いヒヨコ模様の毛布を被り、くるくる回って一言。
「ばばー。ばばー、きゆ。」
今の一言が、大輔にとって最初の意味ある一言だったとしても、母は聞かなかったことにしたいと思う。ちゃんと覚えてはおくけれども。