ザ・ラストスタンディング

我が家の台所には、大輔侵入阻止用のゲートが取りつけてある。食べ物がある場所に行けないだけでなく、母の側にも行けない為、大輔はこのゲートが大嫌い。檻に入れられた野生動物さながら、ゲートによじのぼり、しがみつき、揺さぶり、叫ぶ。力の限り叫ぶ。たまに力が入りすぎむせて中断することもあるが、ほとんどの場合途中で諦めることはない。我が息子ながら、この粘りと根性はたいしたものだと思う。
それにもまして凄いのは、このゲート。体重12kgの大輔がどんなに揺さぶってもびくともしない。それどころか、体重75kgの夫が寝ぼけて目測を誤り、ゲートを跨ぎ損ねて豪快に転倒した時、上部のポールはさすがに外れて倒れたものの、下部のポールは微動だにせず踏ん張っていたのだ。入り口の柱に突っ張っただけのシンプルな構造なのに、この強度。ブラボー、ゲート。グッジョブ、ゲート。まさにタフ・ガイ。無機物だけど。
その無機物に負けた我が夫。よほど恥ずかしかったのか、1日中、妻の視線を避けて過ごしましたとさ。やれやれ。