秋の味覚

農業を営む母の里から、山ほどサツマイモが届いた。
「山ほど」というのは、比喩でも誇張でもなんでもない。何しろ30kg用の米袋いっぱいに詰められて届いたのだ。この米袋、3歳児くらいなら楽々詰めてお持ち帰りできる大きさと強度がある。その米袋いっぱいのサツマイモ。壮観である。
しかもでかい。スーパーに並んでいるサツマイモの倍は優にある。さながら少々小ぶりの赤い大根。その赤い大根が一分の隙も無くぎっしり詰まった様子は、見ているだけでお腹がいっぱいになる。


この赤い大根・・・ではなくサツマイモは、正確には母の里から実家へ届いたのだが、戦中戦後の食糧難に、主食がサツマイモの生活を強いられた母はサツマイモが大嫌い。


「母さんは嫌いだけど、本当に美味しいお芋なのよ。捨てるのももったいないし、あんたがサツマイモ好きだったから送ったの。食べてね。」


・・・・確かにサツマイモは好きですが、好きですが母上。物には限度というものがあるのでは。(と喉まで出掛かったが言い出せず)
とりあえず、大輔の昼食用にスィートポテト、おやつにふかし芋、夕飯に栗と鶏肉とサツマイモの煮物を作ったのだが、そんな程度じゃ焼石に水。いくら美味しくても毎食サツマイモという訳にもいかず、レパートリーにも限界がある。何より部屋が臭くてたまらない。・・・ガスが充満して。


おかあさんといっしょを見ながら、盛大に放つ大輔のおならの音を聞きながら、確実に来年の春頃まではありそうなサツマイモの山を前に、一人頭を抱える私だった。