それは大学1年の秋のこと。(実話)

ドライブ中にふと、外を見ると、赤い彼岸花と白い彼岸花が寄り添って咲いていた。


「来週の講義で彼岸花を使った実験をやります。知っている人もいるかと思います
が、彼岸花の球根には毒があります。猛毒です。
大量に摂取した場合は然るべき医療機関で処置を行なうことになります。
詳しく説明すると救急車で運ばれた後、胃洗浄を行なうことになります。


胃洗浄は苦しいです。大変苦しいです。本当に苦しいです。


ここまで言えば、皆さんは分別ある大人ですから、球根を舐めたり齧ったり啜ったり
するような愚かな行為はしないと信じていますが、どんなことも絶対に起こらない、
と言いきれないのが世の中というものです。


万が一に備えて、実験当日は皆さんが持っている一番上等の下着をつけてくるように。
診察台の上で問答無用でひん剥かれても、恥ずかしくない下着をつけてきてください。
いいですね。一番上等の清潔な下着ですよ。」


セクシーダイナマイトなイタリア製シルクの黒のセットアップにするか。
清楚可憐なグンゼ綿100%白のショーツとブラにするべきか。
馬鹿馬鹿しいとは思いつつも、一応真剣に悩んだあの頃。


彼岸花を見ると思い出す、そんな10代最後の甘酸っぱい思い出。